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2009年2月 9日 (月)

「警官の血」@TV朝日50周年ドラマ

NHKのETVも50周年、TV朝日も50周年といっていろいろ企画している。TV朝日の50時間番組編成、特にどうということはないけど、この2日に及ぶドラマがちょっと目を引いたかな。

以下ネタバレです。

私は「つづく」というドラマが嫌いなので、まずは前編を録画して、「後編」が始まる少し前からCMを飛ばしながら見た。

まず、警官家族のドラマというより、先の戦争で心に傷を負った同僚警官との隠された軋轢のドラマというところが意外だった。

フィリピン・レイテの戦闘を生き延びて、ゲリラ工作に携わった為に不信と裏切りと殺しを一層生生しく経験してPTSDに陥っていた早瀬(椎名桔平)は公安刑事となる。同期で交番勤務となった安城清二(江口洋介)は、戦後のどさくさで地域の男娼や組合員が殺された事件に早瀬の関与を疑い、放火事件の夜に彼を問い詰めて殺された。そして駅の鉄橋から投げ落とされて自殺として処理される。

安城警官だって戦争には行ったのだろうけど、対照的に素直で正義感の青年に設定されている。いかに同期とはいえ、対人間関係はもっと複雑に感情に反映するものだろうにとは思えた。まぁ、この場合は早瀬のはっきりした殺意があったから、それに倒れることはあり得るかなとは思った。

そして、幼かった息子の安城民雄(吉岡秀隆)は、早瀬等父親の同期の援助で高校を出てると、父親と同じ警官となる。ちょうど団塊の世代、先鋭化する学生運動に警察も神経を尖らせている時代だった。

早瀬の関与があったのだろう、民雄は北海道の大学に学生として潜入して捜査することを指令される。民雄は自らの正義感とやっている捜査との間に迷いを持っていた。気持ちが定まらないままに潜入捜査を続け、知り合いの女子学生の彼氏に付き添う形で過激派の集結場所に赴き、警察隊の突入で過激派逮捕に貢献する。しかし、彼氏は逮捕釈放後、その活動を過激化させ、彼の苦悩は深まってゆく。

問題は、彼が潜入捜査をしているのに、価値観をしっかり持てなかったことだろうね。だから彼の心は病んでいく。

彼は看護師といっしょになって内勤となるが、DVという形で病が現れた。妻の献身で救われ、町の駐在として元気になった民雄は、管轄区内でDVで妻を殺しそうになったヤクザを刺し殺してしまった老隣人を救うために凶器を隠す。多分、これは彼が主体性をもって行った行動だろう。人間的だが警察官としては許されない犯罪かな。犯罪だけど人間的というべきか。そして、警察署長はそれを黙認した。

ある日、父親が殺された日に写真館が写した映像を見て、民雄は父親を殺した人間が、自分の学費を出してくれた早瀬であることを知ってしまう。早瀬を訪ねると早瀬は人違いだと主張するのみか、民雄が一度だけ関係をもった女子大生が子どもを道ずれに自殺した新聞記事を見せ、民雄の罪を言い募った。

心の均衡を再び失った民雄は、直後に起きた幼子人質立てこもり犯のもとへ単身飛び込んで、子供を救ったあとに射殺されてしまう。駆けつけた息子に言い残した言葉は「これは罰なんだ」だった。

まぁ、画面を見ている限りでは、民雄の無謀さだけじゃないと思われた。子供が解放された直後に他の警官が飛び込んでいれば逮捕されてたはずだ。一人で取り押さえようと争って、射殺された。警官の不手際だな。

ま、とにかく、このようにして祖父と父が殉職した。そしてついに孫である安城和也(伊藤英明)の時代となる。

和也は私服刑事として丸暴捜査4課加賀谷警部(佐藤浩市)のもとに配属された。この人事は成績がよい加賀谷警部の暴力団との癒着を密かに調べる任務だった。

摘発が派手な加賀谷に惹かれ始めていた和也だったが、加賀谷が自分の彼女に手を出したのをきっかけに、加賀谷の摘発に踏み切る。しかし、加賀谷を逮捕した上司の狙いは加賀谷自身ではなく、加賀谷に繋がる警察上層部への無言の圧力を獲得することだった。

5年が経った。和也の調べを聞いた清二の同僚から問い詰められた早瀬は脳溢血で倒れ、老人ホームへ入った。和也は丸暴で加賀谷のように働いていた。

祖父の無念を晴らせない苛立ちもあって、暴力団と信金の癒着事件捜査の時、和也は水商売の女をおとりにして立件逮捕するが、違法捜査の疑いで追及を受ける身となる。

祖父の殺人を自殺として黙殺した警察、父の隠蔽を黙認した警察、早瀬のいくつもの殺人を無視してきた警察というものを実感した和也は、早瀬を老人ホームに訪ねる。最早すべては時効だと嘯き、得々と自らの犯罪と和也の父の犯罪とその黙認を語る早瀬の言葉を密かに録音していた和也は、それを持って警視総監秘書室に勤務する早瀬の息子(小沢征悦)に録音を聞かせる。早瀬の事件だけだったら、息子は辞職して和也の要求を退けたであろうが、和也の父を黙認した署長は現在副総監になっていた。組織を守る警察は和也に手を出すことが出来なくなった。

温情警察官を種に強請るみたいなことになったのは、ちょっと見ていて辛いところだったが、父の行為を誇りに思っていると言い切った和也はかっこいい。

和也はおとりに使った女直子を誘って、3代に亘って家族写真を撮ってきた写真館へ赴き、二人の記念写真を撮った。

組織と個人って違うよなって思うけど、どこか迷いがある。戦争時代を知らないけど、やっぱりそれでも残虐になれるかどうかは個人の問題もあるんじゃないかと思う。「すべて時代の所為」って言ってしまっては、人間が人間らしくないように思う。

どんな時代でも、どんな逆境でも、人らしく振舞った人々はいるじゃないか。そうありたいと切に望む。しかし、その時代を知らない者が、そう言い切ってしまうことは、時代に屈した人々に酷過ぎるのではないかと言う一抹の不安がある。

和也の、警察の体質を逆手に取った生き残り戦術は、今回功を奏したけれど、先行きに不安が付きまとうよね。その時に彼の心の盾となる「正義」がいつも彼と共にあることを祈ろう。

それにしても、女性達があまりに聖女っぽい。原作者じゃ女性を描くのが苦手かな?(^^;)

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