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2010年12月

2010年12月22日 (水)

「オーディオドラマライブ」@テアトル・エコー恵比寿

ネットで見かけた舞台案内、今年最後の観劇でいいかなと思って出掛けた。恵比寿のテアトル・エコー。

ラジオドラマの録音風景を綴った三つのストーリーで、役者たちが声優として、数本立てられたマイクの前で、脚本片手に声で演じた。

「時の香り」亡くなった夫の思い出とともに喫茶店を経営しながら娘を育てた女性と、彼女を支える夫の友人、そして客としてやってきた闘病中の男性とその妻。命と愛のストーリーが穏やかに語られた。

「彼岸の道」同級生のはずの女性達の年齢がさまざま。若い人は戦争中に亡くなった人、それぞれの年頃にあの世へ行って再会した友達のお喋りという、素晴らしい設定に感心した。そして数人の女性に愛された男性が納谷悟朗だった。太田淑子とともに、顔は知らなかったけれど、声はとても懐かしい人達だ。

「ファイティング・マザー」これにも太田淑子がでていた。上手いねぇ。三話めは、17歳で息子を産んで、美容師として女手ひとつで育ててきた女性の話し。店にやってきたのは、中年の女性客、年下の彼氏の母親に会うという話を聞いて、発奮して若造りをしてあげたら、それが息子の17歳年上の彼女だったという半分コメディーだね。これはNHKの「セカンドバージン」より8年も前に書かれたストーリーだそうで、勿論肝っ玉母さんだから、しっとり思いやりも見せながら、大団円でエンディングだった。

我が家は団地だからだろうか、受信状態が悪くてラジオはまともに聞こえない。ラジオを聴かなくなってもう何年になるだろう。舞台の上の声だけの演技だけれど、充分情景が浮かんできて、ストーリーが膨らんでいった。慣れない人はページを捲ろうとするものだが、それでは音がでてしまう。さすがに慣れた人達は、ページが捲れるのにまかせるようにして次のページへ進んでいくんだね。

私は言葉が聞き取れないのがとても気になる。ビデオに録った番組なら、何度も再生して確認することがよくある。最近の民放では、アナウンサーでも言葉が不明瞭になる人がいる。役者とは言わなくても、タレントでは、口跡がはっきりしない人もいるし、ささやくような言葉でもくっきり発声できる人もいるね。

今回は、普通の演技の舞台と比べると、全員がマイクの前で喋るので、言葉を聞き逃すことがなくてとても満足だった。

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2010年12月18日 (土)

仮名手本忠臣蔵@国立劇場

12月14日、今年も忠臣蔵を見に行ってきた。

国立劇場では日に一回一演目公演だけど、通し狂言ではない。まず城中で茶坊主たちが、鶴岡八幡宮での師直と顔世御前とのやりとりなどをお喋りという形で解説し、そこから刃傷の場面へ入る。師直たちは烏帽子大紋だが、判官は裃長袴、しかし、それには触れられないまま刃傷となる。切腹の場面は入場制限「通さん場」だった。高師直と大星由良之介を幸四郎、塩谷判官と勘平、そしてお軽の兄寺岡平右衛門を染五郎が演じた。

浄瑠璃道行旅路の花婿で勘平とお軽(福助)が落ちて行った後には、花道のせりから登場した講談師が、勘平が猪と間違えて殺して金を取ったのは、お軽の父ではなく、お軽が身を売った金をもった父親を殺して金を懐にした斧定九郎だったこと、それを知らずにすでに勘平が自害したことが語られた。この辺って見たかった場面だよね。本当に忠臣蔵って長いストーリーだ。

一力茶屋の場面はいつ見ても、誰で見ても楽しめる場面だ。由良之介の秘事を知ってしまった妹に死んでくれと迫る兄平右衛門、納得行かなかったお軽が、勘平までもが死んでしまったことを知って、自分の死が兄の助けになるならばと納得するが、すぐに、兄の手にかかっては母が哀しむと敢えて自死しようとするところに由良之介の待ったがかかる。こういうのって何度見ても涙をこらえることが出来ないね。以前見た仁左衛門と玉三郎の兄妹もよかったなぁと思い出された。

それから討ち入り、引き揚げの場まで行くのだが、右の席の人はどうやら帰ってしまったようだ。中村錦之助の小林平八郎を見ないで帰ったの?と呆れてしまったが、右前の大柄の男性の為に見辛かった舞台が余裕で眺められるようになったのは幸いだった。

幸四郎の師直は憎憎しげでよく出来ていたが、がっしりした師直だ。最初の方の台詞になにか違和感があるなと感じて、何だろうと思っていたが、もしかしたら、私は見たことがない洋もの芝居の発声が出たのではないだろうか。一方、私もそうだけど、幸四郎も年をとったね。少し背が丸くなって、城明渡しの場であんなに泣かれては、ちょっと由良之助のイメージが崩れるなぁと感じながら見てしまった。

染五郎は私の贔屓の役者の一人だ。でも、台詞や所作、立ち回りなどの多い場面はとても輝くのだが、佇んだ姿にあとひとつ色気が足りないように思う。もったいないなぁ。


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2010年12月 8日 (水)

文楽@国立小劇場

先日国立劇場で文楽を見てきた。以前は3部公演だったこともあったけど、今回は一日一度だけの公演で、夕方から始まった。

「安寿つし王 由良湊千軒長者」山の段 - 日本人にはよく知られた物語の中の一場面、人買いに重労働を強いられている姉と弟の嘆きの場なんだけど、前列のフランス語を話していた外人さん達は、こんな舞台を楽しんでいるのだろうかとひとごとだけど心配になっていた。イアフォンガイドで聴いている人はいたけれど、居眠りしている人もいた。一幕目で一人がいなくなり、二幕目が終わると全員いなくなった。一人だけ、居眠りもせず熱心に見ていた人がいたけど、彼も一緒にいなくなった。(^^;)

「本朝廿四孝」桔梗原の段・景勝下駄の段・勘助住家の段 - 「本朝廿四孝」っていろいろ観ているけど、なかなかストーリーを掴めない作品だ。前もって粗筋を読んでから見る。

兄弟が山本勘助と直江城之助となる展開は、まるで勘助と直江兼続が兄弟みたいで、いかにも物語っぽさが受けるね。勘十郎の人形の佇まいに気品があって好きだ。

最近TVで古い文楽の舞台を見ることがあったが、やっぱり昔の語りの方が情感が豊かだったと感じる。声の大きさとかじゃないんだよね。聴きながら人形の役の想いに心を載せることが容易に出来た。最近のはもの足りないよな。

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2010年12月 4日 (土)

松本清張原作「球形の荒野」@フジテレビ

二日連続の放送を録画しておいて、一挙に見た。昔映像化されたものを見たことがあるが、誰が主人公を演じたか記憶にないし、原作は読んでいないと思う。

田村正和が戦争中に敗戦工作を計った元外交官、敗戦を快く思わない勢力から身を隠して、死亡したとして19年を海外で過ごしていたが、東京オリンピックのある年に郷愁やみがたく帰国したところから事件が始まる。元スウェーデン公使館の職員や関係者が殺されていく。娘にそれとなく近づいてゆくが、警察や追っ手に妨げられる。若き刑事は娘に惹かれてゆき、その父親が生きているのではないかと考え始める。

娘役の比嘉愛未と若い刑事役の生田斗真は好感度大。一番感動的だったのは東京オリンピックの時代を描き、どこでロケをしたのだろうと思わせる古い佇まいの建物と風景だ。実際のその頃の東京や京都を知っているわけではないけれど、きっとそのままに描かれているのではないかと思わせる素晴らしさだ。

戦争はやってはいけない。しかし、戦争を始めたからには、どうやって終わらせるかは当然考えるべきことだ。負け戦を判断すれば、損失を最小限にする道を探るのは政治家や外交官の旨とすることだろう。あの戦争の時には、そういう冷静な頭脳をもつ日本人が少なかったことが日本の被害をより甚大にしたのかもしれない。

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