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2012年3月 5日 (月)

TV朝日x朝日新聞メディアフォーラム「震災報道を考える」

昨日、有楽町のマリオンで開かれた「震災報道を考える」フォーラムを聴きに行ってきた。

特別コメンテーター池上彰氏、登壇者は、難民を助ける会の長有紀枝氏、早稲田大学大学院の津田大介氏、朝日新聞社の杉浦信之氏、朝日新聞南三陸駐在記者の三浦英之氏、そして、TV朝日「ニュースステーション」の若林邦彦氏だった。TV朝日の下平さやかアナウンサーと富川悠太アナウンサーの司会で始まった。

第一部では、「南三陸日記」というコラムを書いている三浦記者が語った。このコラムは、被災者に寄り添った、心温まる優しいレポートだ。 震災・津波の翌日から現地に入って、その惨状のあまりの酷さに衝撃を受け、子供の津波で亡くなった遺体の痛々しさなどに、取材どころではなく、「自分は何をやっているのだろう」と感じていたという。しばらくは記事もかけなかったそうだ。 遺体回収の若い自衛隊員に「ぶっ殺してやろうか」と凄まれた話もあった。多分、ここに私は引っかかったんだと思う。

メディアアクティビストという津田氏は、一度TVで話しているのを聴いたことがあり、その論理的な語り口に好印象をもっていた。今回もマスメディアとネットメディアを比較し、報道の流れを明快に指摘していた。

休憩が入って第二部のためにコメント・質問を求めていたので、私もこだわったことについて書いて提出した。 海外では亡くなった息子の遺体の前で、世の中にこの悲劇を伝えてくれと記者に語る母親の記事を見たことがあるが、日本では特に死者の出た悲劇を報道することを否定的に見る傾向がある。 記者は報道に自信をもって欲しいというようなことを書いた。個人批判にならないようにと気を遣ったつもりだった。

ところが、アナウンサーに指名されて、質問に答えることになってしまった。それも、別の人の、遺体の写真を公表することの是非みたいな意見と一緒にされて、あたかも私が遺体の写真を公表すべきだと書いたかのような流れになった。三浦記者は「遺体の写真を見たいですか」と尋ねた。朝日新聞は遺体の写真は載せないことにしているそうで、私も載せなくてよいと考えているとは言ったものの、結局報道記者の心構えという論点には戻らなかった。

終わった時、人とのコミュニケーションは難しい、自分の本意を知ってもらうことはとても難しいと痛切に感じていた。しかし、帰りの電車やバスの中で、どんどん怒りが湧いてきた。何故あの自衛隊員に「もし私を殺したら、あなた達の活動を知らせる人がいなくなるんですよ」と言えなかったのか。事件事故の悲劇を報道する人が、辛くて筆を置いたら、その後ろにいる読者は何も知ることが出来ないままに残されるのだ。悲劇の取材にたじろがないで欲しい、報道に自信をもって挑んで欲しいのだ。彼らは私の論点からわざと目を逸らした?まさかそんなことはあるまいと思い直しながらも、不満が残った。

そして、一晩寝て目覚めた今朝、ふと思った。三浦記者も、自分の目で見たあの悲惨さを、十分には理解されなかったという空しさを感じたかもしれないな、と。そうね、遺体回収をした警察官や自衛官達の心の傷の深さを書いた記事を読んだことがあったけれど、私もどれだけそれを理解したものやら。

「コミュニケーションは難しい」、結局この結論に戻ってしまった。

(本日は、直接言葉を交わしたりしたので、例外的に敬称をつけました。)

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