今月の国立劇場文楽公演は、3部構成で、夜の部「女殺油地獄」は見なかった。あまりに有名なストーリーで、以前にも見たことあったし・・・、結局それほど関心がない演目だってことかな。
それにしても驚いたのが、すぐ眠ってしまうこと。三味線の音に乗せた義太夫を聴きながら人形を見ていると、瞬きした際そのまま目を閉じて、耳で節を追いながら夢の世界へ。心地よいんだよねぇ。(^^;)
慌てて目を覚まして観るんだけど、また気付くと目を閉じてる。寝不足なのかもしれないけど、こうまで居眠りが続くのでは、つい人の所為にもしたくなる。
昔聴いた義太夫は、もっと激しくて、人の心・感情に訴えるものが強かったように思う。太夫の声に心を預けて人形を見ていれば、そのまま泣けたし、感動できたものだった。最近の義太夫はお利口さんというか、ちゃんと上手くていいんだけど、心が揺さぶられることが少ない。「鑓の権三重帷子」の見せ場というか、聴かせ場では、ここはもっとなりふり構わず盛り上げて欲しいよなと思うのに、優等生がちゃんとちゃんと演じてた。声に迫力がなくて、一瞬自分の聴力が落ちているんじゃないかと思ったほどだ。機内では気圧の関係で時々耳が遠くなる。その時のようにちょっと対応してみたけど変化無し。当然だよね、三味線はちゃんと聴こえてたんだもの。
竹本住太夫は別格だ。今でも聴いているだけでいいなぁと思う。もしかしたら「女殺油地獄」に出演で、聴けないかもと心配したが、幸い「敵討襤褸錦」の出演があった。大安寺堤の段の切で、刀の試し切りにしようと乞食のところへ来るが、その乞食は仇討ちを期していることが分かるという、台詞まわしが大切な場面だ。もちろん楽しめて有難かった。
この「敵討襤褸錦」の春藤屋敷出立の段に、ちょっとトロい長男を蓑助が遣っていた。出てきた時は、彼の体調が悪くて軽い役をしているのだろうかと思ったが、見ているうちに蓑助ならではの役なのだと判った。素晴らしかったよ。トロいから父親が殺されたことの意味をよく理解できなくて、、彼の周りには異なった空気が流れているが、それを蓑助が細かい動きで巧みに表現していた。敵討をしようにも長男だから率先しなければならないのに、それが出来ない。妾腹の次男三男に後を託して長男を手にかける正妻である実母。殺された父親に同行するのだよと言い聞かされて進んで死んでゆく若者の健気さが心に響いた。
蓑助や住太夫の演じる出し物ではそれほど眠くならずに鑑賞できたのは、彼らの技量故だろうか、それともその前に飲んだコーヒーの覚醒効果なのだろうか。
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