浮世絵

2012年11月14日 (水)

「芳年没後120年」

先日、江戸末期から明治期にかけての浮世絵師、芳年に関する研究発表やシンポジウムのある集まりに行ってきた。楽しかった。

芳年は、歌川芳年とも、月岡芳年とも、また大蘇芳年とも呼ばれ、一般には血みどろ絵で知られている。今で言うスキャンダル週刊誌みたいに、酷い殺人事件などを錦絵で紹介する明治時代の新聞、しかし、彼はそれだけの絵師ではなかったのね。

そう言われれば、「藤原保昌月下弄笛図」の素晴らしい絵を思い出した。彼の最高傑作とも呼ばれているそうで、私も感服したことがある。風強い月夜に笛を吹きつつ家路を辿る藤原保昌は、追剥の男が狙ってはいても襲えないほどのオーラがあるのだ。それをあの絵に描き切った芳年。

没後120年ということで、太田浮世絵美術館のHPには今のところその画像がアップされている。

彼は江戸期にさまざまな絵法を学び、開化期には洋風な描写技法や油絵具などを導入した。芳年は、後年消えてゆく日本の風景を多く描いたそうで、彼の画法は日本画にも、後世の漫画や劇画にも影響を残した。つまり、今のアニメなどにも彼の、いや彼ら浮世絵師たちのと言うべきか、絵の影響が脈々と流れていることをあらためて確認できた。

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2012年5月25日 (金)

ボストン美術館展&ホノルル美術館展

国立博物館平成館のボストン美術館の日本美術展は、相当の混雑の惧れがあったので、雨の日に出かけた。風も強くなると言われてた日だから、観客は少ないかと期待していたのだが、実際出かけてみると、驚くほどの人出だった。みなさん考えることは同じかしら。

まず入ったら、狩野芳崖と橋本雅邦の絵がかかっていた。これですっかりとり込まれてしまった。素晴らしいよね。仏画、仏像が続く。日本にあれば国宝級というものが多く、日本にないことを哀しいと思うけれど、これほど良質のまま保存して貰って有難いという気持ちが湧いた。

巻物が、すべて開かれて、解説とともに展示されていた。吉備大臣入唐絵巻3巻と平治物語絵巻1巻。贅沢な展示だね。良質なものを潤沢に見せるという感じだった。

そして、ホノルル美術館の北斎展。へぇ~、ホノルルにも浮世絵があったのね、と思っていたら、広重が多いけれども、北斎も500枚ほどあるというからすごいです。それも、あの懐かしき映画「南太平洋」作家のミッチェナーのコレクションというので、びっくりしてしまった。バ・リ・ハ~ィ!♪

私は北斎が好きで、あちこちの展覧会に行くので大方の作品は見たことがある。しかし、今回の「乳母がゑとき絵」シリーズなど、他ではほとんど見られない作品が含まれていたので、画集も購入しちゃったよ。

それにしても、海外の作品の保存の良さに敬服、一抹の寂しさを感じながらも、心から感謝する。

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2011年8月30日 (火)

歌川芳艶~知られざる国芳の門弟

先日、原宿の太田記念美術館に行って、歌川芳艶の浮世絵版画を見てきた。

本当のことを言うと、芳艶ってよく知らなかった。彼の師である国芳は幕末の有名浮世絵師だ。いかにも幕末的というか、ちょっと説明的な浮世絵、で、ちょっと奇抜な面をもっていた。

芳艶の絵も物語に題材をとった武者絵などは、大蛇や怪魚と戦ったり、化けものもあって、かなり奇抜だ。しかしストーリーを思わせるから、観客の気持ちをつかむ作品が多かった。水滸伝、金太郎、忠臣蔵など、ふむふむと見ていられる。週刊誌や芸能ニュースののりだろうか。しかし明治の初めの新聞錦絵に比べると、まだずっと絵画的だ。

そうだよね。有名な浮世絵師だけでなく、周辺にもいろいろな作品を生み出した人々がいたということだね。

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2010年11月 9日 (火)

「蔦屋重三郎展」@サントリー美術館

友達が上京して会うことになった。ついでに何か美術館でもと言うので、私の興味がある「蔦重」展に行くことにした。~歌麿・写楽の仕掛け人 その名は 蔦屋重三郎~と銘打った展覧会。東京ミッドタウンのサントリー美術館。

蔦重は私の好きな葛飾北斎とは、若い頃だけで、それほど大きな繋がりはなかったけれど、それでも浮世絵を見る時、彼の存在は大きい。もう一つ、彼は地元吉原の生まれで、吉原細見というお手軽美人リストを売って儲ける仕事からキャリアを始めた。まるで、今のベンチャー起業家みたいだ。アイデアで稼ぎまくって、ついには日本橋に店を張るようにまでなる。とても身近に感じられる人間だ。

扱われた作品の中でも歌麿と写楽は素晴らしい作品を残している。それだけでなく、まるで趣味の延長のように、俳諧や狂歌などの集まりを催しての刷り物出版など、あたかも暮らし全体を楽しんでいたような生き方がありありと見えてくる。

手鎖りの刑にあったり、財産半減されたりという、時の権力との戦いもあったのだから、決しておふざけの人生ではなかっただろうが、それでもめげずに人々の愉しむものを出版し続けていた男を感じることが出来た美術展だった。

最近は荷物になるからと購入しなくなっていたカタログだけど、資料的に整えられていて興味深かったので、今回は買ってしまった。

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2010年6月14日 (月)

市川亀治郎講演「役者絵遍歴」

好きな浮世絵に関する話をいろいろ聞く機会があった。午後には歌舞伎役者の市川亀治郎が自分の浮世絵コレクションについて語るのを聞くこともできた。

彼を初めて認識したのはNHK大河ドラマの「武田信玄」だった。信玄をやっているのが、歌舞伎の女形だと知って意外感があったが、舞台の女形姿をTVで見て、その現代性にちょっと納得した。昔風のなよなよ女形が武田信玄って、振幅幅が広すぎるものね。

ラスベガスに賭博をしに通っているという彼をTVでちょっとだけ見て、またまた違和感。あまり見ないクイズ番組で高得点をとっているということも聞いている。

というわけで、興味津々で待っていたら、現れた彼の細身にびっくり。強靭な筋肉を持っているのだろうけれど、あの細さで体力勝負の舞台をやるなんてすごいね。

父親市川段四郎がロンドン公演の際、お土産に買ってきてくれた高祖父の役者絵をきっかけに、身内の役者絵を収集し始めたのだそうだ。裕福な子供だったので結構集められたとか、2000枚ほどのコレクションも値上がりしたら売って儲けるのが目的とか軽く喋るのを、単純な私はつい信じてしまいそうになったが、そのうち、コレクションを将来はどこかに寄付したいと考えているらしいことが判って、彼はきっと偽悪的な傾向があるのだろうと感じた。

絵姿と同じ配役だった自分の写真を並べ比べて、芝居が江戸期から連綿と受け継がれてきたことを見る者に実感させてくれたし、女形が前髪に当てた布は、鬘技術が未熟だった頃、生え際を隠すために用いられ、今でも当時からの演目の女形は同じ姿をするのだという説明も、仁木弾正の額の黒子はこれで評判をとった幸四郎に黒子があったからで、仁木弾正のモデルに黒子があった訳ではないという話も、歌舞伎ファンには耳嬉しい噺だった。

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2010年3月29日 (月)

「浮世絵の死角」@板橋区立美術館

以前も行ったことあった板橋区立美術館、それにしても品川から板橋は遠いなぁ。トホホというくらい遠かった。でも、珍しい浮世絵がありそうだと思ったので、はるばる出掛けてきた。

イタリア、ボローニャの二人のコレクターが所蔵する浮世絵版画の来日(帰国?)展だ。派手な肉筆画はなくて、北斎や歌麿などという超有名版画家の作品も数点だけだが、一方、豊国や国芳の役者絵が豊富に展示されていた。中堅というか、それなりの作品ばかりだし、保存がいいので色も線もすっきりきれいに残っていた。

好きな歌舞伎のずっと昔の役者たち。当時は評判をとった出し物だったのか、客を呼びたい出し物だったのか。中村歌右衛門が立ち役なのも面白い。今では聞かない役者名もいくつもあった。歌舞伎を知らなかった頃は、浮世絵の絵姿は似ていないだろうと思っていたけれど、現在の門之助の特徴のある鼻なんて版画で見たことあるような気がしてくる。それぞれに睨みも今の舞台を思い出させるから、当時はそれなりに似ていたのかもしれないね。
北斎の作品のような強烈なインパクトはないけど、とても充実した浮世絵展でした。

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2010年1月24日 (日)

ココログって・・・、もうHトラックバックはお断りだぃ!

自分のHPのCommenti感想欄を引き継ぐかたちで、このブログを開いた。それ以来、映画やテレビ、舞台の感想を書き綴ってきている。

本家HPにはカウンターがないから、どのくらいの人が見に来てくれているかわからないけど、ここにはアクセス解析というのがあって、少なくとも来訪者の数だけはわかるのが嬉しかった。コメントはほとんどなくても、アクセスがあるだけで充分だと感じているが、トラックバックというものにはうんざりさせられることが多い。

とにかくH関連ばかりなんだよね。テレビ局名やタレント名、コメントの中の言葉に反応してHなブログとリンクさせるのもあれば、そんなもの何もなくても、人気作品について書かれているとアクセスが多いと思ってかHサイトへリンクさせることがある。

「ニフティに知らせて削除」しているのだが、「ニフティに知らせて」ということが何か有効に作用しているのかどうかは知らない。でも、ふざけたトラックバックだけが反応として出てくるというのには憤懣が募る。

というわけで、「トラックバックを受け付ける」というチェックをはずした。真面目な方でトラックバックをご希望の方は、面倒でしょうが、コメント下さい。その都度対応させていただきます。

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2008年12月 1日 (月)

「世界の浮世絵」

浮世絵の集まりでいろいろな話を聴いてきた。

スペインにはフランスほど浮世絵は多くないけれど、北斎や広重についで国貞がとても好まれ、妖怪がとても人気があるそうだ。カトリックが強いので歌麿の色気がそれほど好まれなかったのかもしれないというのは面白い感想だね。

メキシコにいたあるコレクターはドイツ人の先達から浮世絵の資料を受けていたりしたが、政変に巻き込まれた時すべてを失ってしまったという。

浮世絵の良いものは海外へ流出したと嘆き憤る人がいるが、ある研究者は、『そのお蔭で関東大震災や大戦の空襲による焼失を免れたものが多いし、保存もまたレベルが高い』と語った。海外のコレクターは一代限りの場合が多く、持ち主が亡くなると売り出されることが多いが、その際詳細な目録が作成され、重要な資料になっているそうだ。また人によってはコレクションをそのまま美術館に寄贈する場合もあり、研究を待っている作品はまだまだあるそうだ。

中国美術品の中では本国では散逸してしまっており、日本に古く良いものが残されているものもあるという。

昔から人は交流していたということを示しているんだね。

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2008年9月26日 (金)

浮世絵ベルギーロイヤルコレクション@太田記念美術館

先日アメリカボストン美術館のスポールディング・コレクションをTVで見たが、研究者は美しいままに残された浮世絵に感動していた。

このベルギーコレクションも美しい。よく残ったものだ。春信の作品が多くあった。色あざやかな春信は珍しい。

歌麿の美人がも多かったが、他に例がないという妖怪の絵が珍しかった

私が好きな北斎の作品もいろいろあった。しかし前期にもっと面白い作品が展示されたようで残念だった。仲々前期後期ともに見ることは叶わないよね。

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2007年5月28日 (月)

ヴィクトリア アンド アルバート美術館所蔵浮世絵名品展@太田記念美術館

今月と来月を前期と後期としての大展示会、今日が前期の最後の日だったので、迷ったけれど、え~いままよと出掛けてきました。

お目当てはやはり葛飾北斎です。若い頃の美人画が最近彼の作品だと鑑定されて、それが出されているということだったけれど、それ以上に素晴らしかったのは「肉筆帖」ですね。鶏や蟹、蓮根など卑近な題材なのにその姿の豊かさは、見ていて心がふるえてくるほどでした。

油画の大作みたいな大仰さはないのに、それでもしっかり描き込まれた充足感があります。おススメです(^-^)

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