舞台・演劇

2009年12月23日 (水)

ミュージカル「パイレート・クィーン」@帝国劇場

先週末に友達が上京して、一緒に帝劇へ行った。彼女が大好きな山口祐一郎が出るミュージカル。急に誘われたので、ネットで内容をあわててチェックして出掛けた。

アイルランドのある族長の娘グレース(保坂知寿)は男勝りで、アイルランドを統治しようとしているイングランドの船に対して海賊行為を行なうアイルランド男達に混じって船に乗り込む。パイレート・クィーンと呼ばれてイングランドにまで名を馳せるのだが、初めから恋人ティアナン(山口祐一郎)がいる。

友達によると、今回のように山口祐一郎が真正面から愛を歌うのは珍しいそうだ。ファンには逃せない舞台だね。まだ初演だけど、これでもっとこなれてきたら、きっと愛の歌に感動するファンが増えるかな。山口祐一郎が情を込めて愛を歌い上げられればだけど。

しかし、グレースはイングランドと対抗するために、別の族長の息子と結婚させられる。子供も出来るが、夫はキングの力量を持たず、むしろイングランドと密かに結ぼうとする。

グレースがイングランドに囚われの身となって数年後、命を落とした夫に代わって子供を育てていたティアナンは、イングランドのエリザベス女王(涼風真世)に身替りを申し出て、母グレースを子供の下へ返して欲しいと願い出る。

不屈のグレースを支える息子への想いと恋人の男。それはエリザベス女王にはないものだった。ティアナンの代わりに自由の身になったグレースだったが、再び船に乗ってイングランドへ赴く。エリザベス女王と直接交渉して恋人を釈放してもらうために・・・。

題名からいけば保坂知寿が主役だろうけど、どうも貫禄がない。マイクに助けられた歌唱という感じ。私はどうしても声のボリュームのある歌手を好むから、彼女が軽く見えた。

一方、涼風真世はうまいし、エリザベス女王としての貫禄充分だった。彼女がこの舞台をピリッと締めたと思う。

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2009年12月17日 (木)

文楽@国立劇場

今月は12月、やっぱり「忠臣蔵」が見たいなと思っていたら、国立劇場で文楽鑑賞教室「仮名手本忠臣蔵」をやっていた。初めての鑑賞教室に出掛けてきた。

「下馬先進物の段」から刃傷・切腹を経て、「城明渡しの段」まで。堪能できた。

まず学生達が大勢。教師がついてきている風もないけど、ほとんどが学生で、我々一般人大人も脇の方にチラホラだった。始まりのベルが鳴っても立ったままワサワサと喋り声が続いていて、どうなることだろうと思っていたら、幕が開くとそれなりに静かになった。

まずは解説。文楽は関西の芸能なので、大阪弁の太夫と三味線の二人が、かけあい漫才みたいに気を逸らさずに案内してゆく。品下がらないのがいい。

で、舞台が始まると、シーンとする。これにはびっくり。もちろん居眠りしているらしい人もいるけど、しっかり見ている若者達というのは、ちょっと感動だった。

勘十郎が遣った城明渡しの由良之助が哀愁あって毅然として美しかった。

夜の「近江源氏先陣館」と「伊達娘恋緋鹿子」も見た。今回は住太夫は出ていない。どうも義太夫は言葉が不鮮明で聴きづらいし、物語に入り込んでいけないなと今回も思った。私の聴力が落ちてきているのだろうかなどとまで思ったのだが、豊竹呂勢太夫の語りを聞いて、あぁ、これは数十年前から聞いてきた義太夫の流れだと感じた。これから彼を注目して行こう。

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2009年10月 6日 (火)

「品川能と狂言の会」@きゅりあん

たまたま大井町の駅前を見上げたら、「品川能と狂言の会」の幟が垂れていたのを見つけて、即座に券を購入した。

最近とみに能に関心が高まっている。こんな近場で鑑賞できるなんて有難いと喜んで、ネットで内容を予習して出掛けた。

能「自然居士(じねんこじ)」/観世流   観世銕之丞

寺で自然居士が説法をおこなっている時、少女が我が身を売って得た小袖を寄進して亡き両親の供養を願い出たが、人買いが少女を連れ去ってしまう。自然居士は少女を返してくれと交渉し、請われるままに曲舞を見せて、ついには少女を取り返す。

狂言「清水」/和泉流            野村萬

茶の湯のために遠方の清水を汲みに行くように言われた太郎冠者は、たびたび行かされることになってはかなわぬと、手桶を捨てて、途中鬼に遭ったと帰ってくる。主人は信じず、確かめようと自ら出掛ける。太郎冠者は先回りをして鬼に扮して主人を脅そうとするが・・・ついには明らかになってしまう。

能「猩々乱」/観世流            浅井文義

中国の孝行息子高風が夢のお告げのとおりに酒を売って富裕になった。高風は日頃酒を飲みに来る客猩々と知って、猩々が住む水辺に酒壷を持って待った。猩々は高風と酒を酌み交わし、舞い遊び、高風に汲めども尽きぬ酒壷を与えて消え去る。

どれも楽しめた。能の面はどちらも品があってよかったし、ストーリー性もあったので、理解しやすかった。あと、能の舞いが良いなぁとしみじみ感じた。普通の日本舞踊と違って極限まで所作が切り詰められていて、幽玄の域に入っている。多分これが惹かれる理由だろうなと判った。

それにしても、これだけ気に入った舞台なのに、ふっと夢の世界に入ってしまう。これって何なんだろうねぇ。

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2009年9月 1日 (火)

「NINAGATA十二夜」ロンドン公演@NHK

NINAGAWA舞台には何となく抵抗感があって、今まで見に行くことがなかった。以前、野村萬斎のオディプス王の舞台を録画して見たことがあったが、最初に萬斎が出てきて台詞を言い出した直後に、これはダメだと思って、それ以後を見ないまま削除してしまった。これはわたしとしては珍しいことだ。陰陽師でお気に入りの野村萬斎だったけど、それ以上にギリシャ悲劇のオディプス王に対する思い入れが強かったのだろう。

だから期待していなかったというか、むしろ『一応目を通してから録画を削除しよう』と思って見始めたNHK放送の「NINAGAWA十二夜ロンドン公演」だった。最初のうちは、お笑いが苦手な私はダジャレやひょうきんなおどけに肌寒い思いをしながら見続けていたが、そのうち舞台に引き込まれてしまった。

まず、舞台装置が美しい。大きな鏡と光を効果的に用いた漆のような背景に眼を見張った。そして歌舞伎役者がどの人も真剣で活き活きと演じている。こんな活気のある役者達の舞台なんて見たことないって感じがするほどだ。

扇雀がいい。菊之助が立ち役、女形に加えて、男装の麗人を早変わりしている。菊五郎も二役でストーリーを進めてゆく。中村錦之助が恋する男を演じていた。

もうひとつ、やっぱりシェークスピアという原作がいいのかもしれない。他愛ないドタバタ喜劇だけれど、台詞が濃いから、うまい翻案で歌舞伎の台詞として遜色ない。

まだビデオを削除出来ないでいる。

そうそう、8月初めにトークを聞きに行った亀三郎の役人を確認した。

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2009年8月28日 (金)

「ドリアングレイの肖像」@世田谷パブリックシアター

若い頃気に入ったオスカーワイルド原作の「ドリアングレイの肖像」が、山本耕史を主役にして舞台になるというので見に行った。時代劇「新撰組!」と「陽炎の辻」の山本耕史しか知らないので、ちょっぴり違和感を持ちつつ、ちょっぴり期待もあった。
とにかく、読んだのが大昔だったので細かいところを忘れていて、あらためて斜め読みし直して出掛けた。
私にとっては、この作品は「永遠の美」の問題だったのだが、読み直してみて、オスカーワイルドは「美と若さ」に拘っていたんだと感じた。私にはそれほど「若さ」に執着する気持ちがない。
さて数分遅れて始まった舞台、銀色に輝く長い髪を束ねた姿で現れた山本耕史ドリアンは、案外素直に受け止めることが出来た。意外と胸が厚く、衣装でなんとか出来なかったかなとチラッと思ったけど、違和感は生じなかった。
むしろヘンリー卿に、もっと人格的肉付けが欲しかった。ドリアンに知をもて遊ぶ言葉で刺激を与え、彼の人生を決定付けた人物だもの。
撮影用のカメラが入った日だったし、気合の入った舞台だったと感じたが、なんといっても作品に思い入れのある観客は、どうしてもダメだししてしまうものなのだろうね。
見ていた演技にあまりイギリス的なものを感じなくて、男同士の友情以上のものを示したかったのかもしてないが、まるでフランス人みたいだった。
組んだ鉄骨の回廊と階段が回転して、劇場やドリアンの家、画家の家などに変化する演出はいいアイデアだったと思う。それで絵を隠しているのが屋根裏部屋でなく地下室となったとしても大きな問題ではないだろう。
でも、画家を殺すのと昔の許婚者の弟を殺すことは全く別のことだ。許婚者の弟を自らの手で殺すと、ドリアンの人物が変化すると思う。これは納得がいかなかったし、はめた指輪で老人の死体がドリアンであることが判明するはずなのに、指輪をまえもってヘンリー卿に返却しており、亡くなったドリアンの指にヘンリー卿が指輪をはめるエンディングも理解できなかった。
脚本家の意図が書かれているかと思って、買う気のなかったパンフレットを買ってきて読んだけど、その辺のことはなにも書かれてなかった。
妖しいまでに美しいドリアンの肖像画をどう表現しているかもポイントだったが、濁った色合いの油絵的な眼の映像が、最初からあっというまにCGで歪んで溶けてしまった。まず人の心をつかむほどの美しさがないし、衰えてゆく時間的経過も表現されてなかった。ガッカリだった。多分、私と脚本家は重要とする点が異なるのだろう。
世田谷パブリックシアターには初めて行った。SePTと書くんだね。野村萬斎が芸術監督だそうだ。

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2009年8月 7日 (金)

「ダンスオブヴァンパイア」@帝劇

数年ぶりで見たミュージカル「Tanz der Vampire」、主演は山口祐一郎、博士は前回の市村正親に代わって石川禅。山口祐一郎は前回より歌にというか、歌詞に深みが出ていたように感じた。舞台って進化するんだなという印象。演出は大きく変わっていないのに、演技が練れてきているということだろうか。

石川禅は上手いのだが、どうしても市村正親的と見えてしまう。聞こえてしまうということかな。ヴァンパイアの息子役吉野圭吾はちょっとセクシーで目を引くね。

ストーリーはやっぱりよく判らない。若者の恋愛は成就したようにも見えない。ヒロインはヴァンパイア伯爵に憧れていたが、愛してくれる若者をヴァンパイア仲間に引き込むけど、愛し合っているようには見えないんだよね。

伯爵は人の欲望の世界を嗤い、永遠の命の孤独を歌うけど、欲望に生きる世界を真に望んでいるのか、最後の場面は彼の望みだったことなのか不明。ミュージカルといえども、ストーリーを重視する私にはちょいと消化不良感あり。

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2009年7月 3日 (金)

「ド・ラ・キ・ュ・ラ」@テアトル・エコー

恵比寿にあるテアトル・エコーの公演「ド・ラ・キ・ュheartラ」に行ってきた。それほど期待していなかったけど、私の好きなラブ・コメディーで、ちょっとペーソスも効いていて、見終わったあと嬉しい気分で劇場をあとにすることが出来た。

舞台はロンドン、13年前、駆け落ちしてドーバー海峡を越えようとした若者が銃弾に倒れた。

ルーマニアからやってきたバンパイヤ達、その中には怪物君や狼男、子泣き爺(熊倉一雄)もいるという設定。自分達の復活の為に最適な遺体を獲得したが、その青年は仲々うまくバンパイアになれない。彼は生きていた当時の記憶がなく、近隣の貴族の少女を狙うように唆されるが、13歳の少女の哀しみに寄り添い、母親の貴婦人に惹かれる。

最後には自分の素性と運命を思い出し、バンパイヤとなって結ばれるというハッピーエンドだった。

バンパイアの中に和ものの妖怪が入っても破綻しないのは流石だ。まず私の好みからいくと、主人公をやった川本克彦の好感度の高さがこの作品の好感度を上げている。あとバンパイア兄妹の台詞の確かさかな。今回神父役も好かったよ。

若い役者はそれぞれ素晴らしいんだけど、熊倉一雄の存在感ってすごい!すごくて違和感がないのがもっとすごい!

私は基本的にお笑い系が苦手。その私が違和感ないというのだから、よく出来た芝居だったと言えるね。

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2009年5月11日 (月)

「のうのう講座 - 世阿弥の作った恋慕の能」@矢来能楽堂

今月ものうのう講座に行ってみた。法政大学能楽研究所の山中教授の講義。今回もとても興味深かった。

「花筐(はながたみ)」を中心に、他の演目を数々比較しながら、解説してくれた。ずっと能を見慣れている人や、実際に自分で謡をやっている人などを対象に話しているようで、私のような全くの素人はどれもこれも耳新しくて楽しかった。

天皇役は子方が演じるとは初めて知った。「物狂い」も狂うというより舞うに近いとか。

この物語は継体天皇が都に召された時、花筐と手紙とともに大津に残された女性が、天皇を恋うて都へ追って行く話しだそうだ。能には子供でも恋人でも求め歩くというストーリーはあるよね。

もっともっと能について知りたいと思った。もっともっと世阿弥について知りたいと思った。

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2009年4月28日 (火)

「ヴェニスの商人 ー 肉は切れないよ」@遊空間がざびぃ、西荻窪

ネットで知り合った同郷(福岡)の若者が出演している舞台を見に行ってきた。品川に住む人間にとって、西荻窪は遠かったよ。

http://www.gazavie.com/schedule/each/day?y=2009&m=4&d=25

とってもささやかなシアターで、つい通り過ぎちゃうほど。観客も若い人が多かったけど、役者も若くて、キビキビと観客を案内していた。お芝居が始まると、客席を含めた舞台スペースを縦横無尽に走って叫んで、ダイナミックな芝居だった。

台詞がよく聞き取れるのはいいねぇ。みんなよく鍛えている。小道具をちょっと替えるだけで二役や三役をこなす役者がいたけど、ちゃんと見て聴いていれば配役を区別理解出来るんだからすごいね。

シャイロックやアントニオに心を寄せて一喜一憂、アントニオとバッサーニオの友情に共感し、最後の余韻で、シャイロックの娘ジェシカは真の愛を得て幸せになったのだろうかと気になった。つまり、この演劇を楽しめたということだね。

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2009年4月26日 (日)

能「鵺(ぬえ)」@矢来能楽堂

久しぶりに能を見てきた。神楽坂駅近くの矢来能楽堂。演目は「鵺(ぬえ)」、ネットで内容をチェックして出掛けた。

まず驚いたのだが、最初に作品を細かく説明したリーフレットを貰えたうえに、それに基づいて作品紹介や衣装を着るところを見せてくれたり、謡の発声を真似させてくれたこと。こんな機会はとても貴重で、嬉しかった。(^-^)

過去に数回能を見て、どうしても居眠りタイムが入ったので、今回は万全を期して見始めたのに、やっぱり居眠りしちゃった。どうしてなんだろうと不思議で仕方なかったけど、ふと気付いた。面をつけたままの台詞が聞き辛い。必死で聴くけど聴き取れないことが多く、神経が疲れちゃうみたいだ。

歌舞伎や文楽も聞き辛いと言う人は多いけど、私には馴染みだ。比較的最初から台詞の聴き取りに問題を感じなかった。だからすっと物語の中に入っていけたのだと思う。

でも、能は面をつけているからか声が聞きづらいし、謡は声の揃わない男性コーラスみたいで言葉を聞き取るのが難しい。英語の歌もソロ歌手だと聞き取れても、コーラスになると歌詞を聞き取れないみたいなものだ。

ふと台詞を聴き取ることを諦めて、映像的に見てみた。すると眠気なんて吹き飛んで、仲々いい舞台だと思えた。でもね、見ているとすぐ言葉が頭に入ってくると、どうしても言葉に引き寄せられてしまうんだよね。

まだまだ、能を充分に鑑賞するには遠き道のようです。でも、何故か自分でも判らないけど、能は私にとってはお気に入りの芸能になる予感があるす。これからも理解できるように焦らず接していこうと思っている。

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